引き渡しから数ヶ月後、ふと壁を見たときにクロスの隙間が目に入った——
そんな経験はありませんか?
「新築なのにもう隙間が出てきた」「これって欠陥じゃないの?」と不安になる方はとても多いです。
私は富山市で新築建売住宅の仕入・販売に長年携わり、宅地建物取引士として100件以上の引き渡しに立ち会ってきました。
その経験から言うと、クロスの隙間は欠陥ではなく、新築建売ではよく起きる自然現象です。
ただし、保証を正しく使えるかどうかは知識次第。この記事では、業者側の本音を含めて詳しく解説します。
【クロスの隙間は気密性の問題ではない】
まず、結論からお伝えします。クロスの隙間は、建物の気密性とは直接関係ありません。
気密性の問題とは、壁や窓の断熱材・サッシの施工不良によって外気が侵入してしまう状態のことです。
クロスの表面に生じる隙間とは、原因も場所もまったく異なります。
では、なぜ隙間が出るのかというと、主な原因は木材の乾燥収縮です。
新築住宅には大量の木材が使われています。
木材はもともと水分を含んでいて、建物が完成して生活が始まると暖房や日常の湿度変化によって少しずつ乾燥していきます。
この乾燥の過程で木材がわずかに縮み、その動きに引っ張られる形でクロスに隙間が生じるのです。
特に起きやすいのは、暖房を使い始める冬場(11月〜2月頃)です。
富山県は湿度が高い地域ですが、室内を暖房で温めると相対湿度が下がり、木材の乾燥が進みやすくなります。
引き渡し後、最初の冬を越えたタイミングでクロスの隙間が気になり始めるお客様が多いのは、このためです。
【業者として感じていたこと】
引き渡しの際、私はお客様に必ずクロスの隙間について説明していました。
「木材の乾燥によって、引き渡し後に壁紙に隙間が出ることがあります。欠陥ではなく自然な現象ですので、ご安心ください」と。
ところが実際に隙間が出ると、「説明は受けたけど、やっぱり不安で…」と連絡をくださるお客様が後を絶ちませんでした。
それだけ、実際に目にしたときのインパクトが大きいということだと思います。
だからこそ、説明を聞いた段階でしっかり理解しておくことが大切です。
そして「どのくらいの隙間なら保証対象になるのか」を引き渡し前に確認しておくことが、いざというときに非常に重要になります。
【保証の基準を知っておく】
クロスの隙間が保証対象になるかどうかは、会社ごとに異なります。
ただし、一般的な目安として知っておいてほしいのが以下の2点です。
1.保証期間:引き渡しから2年以内
多くの建売業者では、クロスを含む内装仕上げ材のアフターサービス期間は引き渡しから2年以内に設定されています。
この期間を過ぎると、有償対応になるケースがほとんどです。
2.対象の目安:隙間が1ミリ以内
隙間の大きさにも基準があります。一般的には1ミリを超える隙間が保証対象とされるケースが多いですが、1ミリ超であっても対象外とする会社もあります。この基準は会社によって大きく異なるため、引き渡し前に保証書や仕様書で必ず確認してください。
まとめ
新築建売のクロスの隙間は、ほとんどの場合、木材の乾燥収縮によって生じる自然な現象です。
気密性の問題ではないので、過剰に心配する必要はありません。
ただし、保証を正しく使うためには「期間」と「対象の基準」を事前に確認しておくことが大切です。
〈不安な方はセカンドオピニオンへ〉
「保証書の内容がよくわからない」「業者の説明に納得できない」という方は、お気軽にご相談ください。宅地建物取引士・FP2級の資格をもとに、中立な立場からアドバイスをお伝えします。
著者プロフィール
やまお。富山市を中心に新築分譲住宅の仕入・販売に携わった経験を持つ。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランニング技能士2級、賃貸不動産経営管理士、日商簿記3級を取得。現在は買い手側に立ったセカンドオピニオン相談を行っている。
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